『最低気温は2度と低い予想で、路面の凍結などに注意を呼びかけ—–』
「今日は家にいようか」
「そうだな」
テレビを付け、早朝毎日15分放送されている戦車ニュースが始まるのを待つ。
「ミカ、おいで」
横で並んで見ていたが、振り向くと引っ張られてまほの腕の中にすっぽりとミカが収まった。ミカの体が暖かいどころか、熱くなる。
大砲音と共に番組が始まると、まほは無言になる。何言っても気のない返事になる。
「まほさんまほさん」
「ん」
「大好きです」
「んー」
「えっちしたいです」
「ん」
ほらね。ミカは心の中で笑う。
15分間は言いたいこと言えるが、たまに聞こえていることがあるので注意番組を終えると、現実に戻ったまほはため息をつく。顎をミカの肩に乗せる。
「なんか、ムズムズして落ち着かない」
まほは鼻をミカの首筋に擦り付けて匂いを嗅ぎながら甘える。ミカはクスクスと笑いながらくすぐったくて身をよじる。甘いもの食べたせいか、まほが甘えたになっている。好きにさせているとだんだんまほがインナーワンピースから手を入れて皮膚の体温を感じだす。片手で綺麗な髪をときながらまほは言う。
「お前はやはり綺麗なんだな」
「バレたかい?」
「再認識だ」
まほは頬にキスをする。
インナーワンピースから手を入れてミカの皮膚の体温に触れ、徐々に上へ登り、胸まで達する。ミカの形の良い豊満な胸をそれぞれ両手で掬い取り、ゆっくり円を描いて揉んでいく。親指で立ち上がった乳首を弄くる。
「はぁ……」
出さないつもりであったが、ミカの口から思わず艶のある吐息が出てしまう。
「綺麗、だ」
耳元で囁かれて身体の奥がじんと熱くなる。こんな風にいとも簡単に黒森峰の元隊長に攻略されるのは継続高校の部員にはショッキングな事だな、と背徳感でゾクゾクしてしまう。
まほの怖いところはそれに完全に気づいていることだ。まほの長所でも短所でもあるが、戦車道の癖で人の強み弱みをすぐに把握して攻略し、圧倒してしまう。まほにその気はなくても無意識で弱みをついてしまうこともある。だから、まほに恐怖心を抱く者は多い。
それは自然体のミカでさえ、頻度は少ないが、ある。
わざと脚をMの字に身体を固定し、下着を脱がせ秘部を露わにさせ、ちょうど置いてあった姿見の鏡で本人に見せつける。簡単にとろとろに濡れてしまった秘部。恥骨部分の毛は残し、秘部周囲は綺麗に剃ってあり、形状が丸出し状態であった。
「どうだ、綺麗だろう?」
「ま、まほさん、」
「?もうちょっと開くか?」
まほは更に脚を開かせる。違う。そうではない。羞恥心で体が震える。 ミカは小さく呟く、入れてくれないかい。
素直なミカに驚いたまほはふっ、と笑う。
「欲しがりさんだな」
まほの中指を一本咥え込むように奥まで入っていく。
「あっ、ああっ、はぁっ」
まほの前に触れる背中が熱くなり、ビクリビクリと愛しく震える。出し入れするとそれだけで気持ちいいようだ。
人差し指を増やすと、中の窮屈さが増し、また熱い液体が溢れだす。空いた左手で豊満な乳房を揉みしだき、時々人差し指で立った乳首をピンッと弾く。
「ふぅっ、ん!」
弾かれ、感覚に頭が動く。汗とシャンプーの匂いが漂う。左手の動きは止めず、何度も弾く。その度にミカの頭が微かに動く。
「ここ、気持ちいいのか?」
「妙な感覚だよ、君が触れてくれるならどこでも気持ちいいよ」
「それは照れるな」
まほは目の前にあったミカの左耳をくわえる。耳の柔らかい感触が唇に触れて気持ちいい。輪郭を舌でなぞる。ミカの方も耳の縁を舌でなぞられ、気持ちよくて甘い声が出る。
「あ、あぁ」
「お前の声が好きだ」
指がミカの突起の方へ伸びていく。皮は剥かずそのまま指の腹でなぞって行く。
「ひゃっ」
強い刺激にミカは背中が弓なる。そのまま指でこすると、ミカは腰ごと跳ね上がる。
「触ってほしいか?」
ぎゅっと目を瞑りながら頷くミカ。ゆっくりと中指円状に擦る。
「あっ、あっ、あっ」
声にならない吐息が規則的に出てくる。そのたびに開かれた足が震える。まほは後ろからミカにキスをする。下腹部に感覚が込み上がる。
「もっと」
ミカはまた指を二本膣の中に入れて、刺激し抜き差しする。溢れてくる液にまほの掌も濡れてくる。
「あぁっ!イクッ!もっと!まほさん!!」
もう少しで達する。
その感覚を達したくて、ミカの腰が動いていく。途中、まほが指の動きを止めても、ミカの腰は止まらない。わかっていても動いてしまう。
「君はやはり、サディストだね」
戦車道と同じ。染み付いた道が本質的にそうだ、とミカは実感した。感情はない訳がない。あの黒森峰の隊長なのだ、敵を圧倒的な力で屈させるのを見るのが密かに快感を覚えているのではないか。
「違うな。お前の方が自然に忠実なだけだ」
まほは再び続ける。左手で乳房を円状に揉むのも忘れない。
まほからの刺激を最大限に受けるため、ミカは尻を閉じ、膣を締める。まほは膣を指の腹で刺激する。ミカの反応がいつも過敏な部位だ。ぎゅ、ぎゅ、と押していく。足の奥までから上がってくる暖かい強い波にミカの足が震えだし、足の指をぎゅっと閉じる。心臓の鼓動が早くなり、呼吸が乱れ、汗が流れる。強い波に目を瞑る。
「…..あぁっ、まほさんっ!!」
感覚の強い波に流されて、ミカは全身力が抜ける。気持ちいい感覚に抜け出せず、顔が緩んで肩で息をしながら口を開いていると、まほが笑って口付けた。足もわずかに震える。寒いな、と思ったら、まほが後ろから腕を回して抱きしめてくれた。まほの早い鼓動が背中で伝わった。
「大丈夫か?」
優しい手がミカの汗で張り付いた前髪をかきあげる。
「まほさん」
「なんだ」
「ちゅーしてほしいんだ」
軽く笑ってまほはまたミカにキスをする。
「これが、好きなのか?」
「うん」
「今日は妙に素直だな」
わずかに顔を緩ませながら、顎に、輪郭に、鼻に、瞼に、眉間に、こめかみに、額にキスをしていく。ミカは夢心地の気分であった。
「君は本当に面白いね、強くて、圧倒的で、優しくて、そして時に虎のように残酷。」
強靭な精神力に支えられいるが、一歩間違えればタチの悪い化け物極まりないだろう。
ミカは嫉妬2割、好奇心8割の気持ちで問う。
「妹を捨てた時はどういう気分だったんだい」
何よりも妹を優先にする君だ。
妹が居なくなって君は泣いたのだろうか、叫んだのだろうか、悲しみくれただろうか、絶望したのだろうか。黒森峰の連勝を2回逃して責任を感じない訳がない。内心悔しかったのだろうか。まほは鉄の心か、全くそんなそぶりを見せないどころか、弱さを一切見せない。ミカは好奇心故にまほの弱さに触れて見たかった。まるで炎に近づく蛾のようだ。
「相変わらず飄々として口が悪いな。」
ふん、と鼻を鳴らしながら、顎を肩に乗せる。
「捨ててないよ、あれは、自分の意志。私たちは道がただ、分かれただけだ」
ほら、また失敗だ。君は弱味を決してみせないだろう。
その言葉に自信が含まれていた。物理的に離れていようとも精神的に離れないのだ、という自信。姉妹という安定性が軽く憎らしいな、とミカは思う。
「そして、もうすべて終わったことだ」
回された手でお腹をさすられながら言う。
「不思議なことなんだ、本当に。今まで死ぬほどつらい思い出も大学生となった今となっては、不思議と楽しい思い出しか残らないんだ。つらかった思い出さえもなつかしいよ」
「…..確かにそうだね」
ミカは納得する。この時点になるまでしかわからない。幼い頃から高校生の時間は驚くほど早く濃密に進み未熟な感情故、葛藤し、悩み、仲間と楽しさと悲しさ、怒りでさえも共有しながら、成長をとげる。
大学生となった今、その濃密さを実感するのだ。
「しかし、ミカはみほに執着しすぎだ」
「まほさん、それは仕方ないことだよ」
今でも思いだす。私達が高校三年生の頃、大洗の助っ人として大学選抜と戦った時。
最後の2vs3からの逆転劇。あれは高校戦車道の中でも伝説の一戦となっている。
実質、戦車道名家島田流vs西住流となった。中でも西住姉妹の視線とハンドサインのみの完璧な連携プレイは姉妹故可能としたと報道された。
「嫉妬に意味があるように思えないけど」
ミカは後ろからのまほの手の指と指の間に自分のそれを入れる。
「それこそ、君への思いが強くなるみたいだ」
珍しく甘たるい声で言う。疲れが出てきたのかミカはうとうとし始めた。まほは額にキスをする。おしるこは人を甘くする効果があるかもしれない。
「今はプロリーグと、お前と次、何の飯を食べようかしか考えてないさ」
軽く言うまほにミカは笑う。高校みたいに喜怒哀楽が疾走することは少なくなり、今はそれに比べて少し退屈だけど日常のふとした瞬間ああ幸せだなぁ、と思う。
「いつものことだが。あのおしるこ量を消化するにはほぼ毎日食べないといけない。」
「またパーティするしかないねぇ」
雪が降った。あの小さい子どものような同学は雪だるまでも作ってるんだろうな、とまほは思いながら携帯のライングループに『おしるこ食べたい人集合』と書き落とした。
2016年12月5日 pixiv掲載