玩具(カメリアン×局長/R-18)

何か音が聞こえて意識が戻った時、視界には床が眼前に広がっていた。吐息が間近に聞こえる。自分は両膝を床に付け、体の重心を前方に支えている。頭が痛く重く、視界がモヤが掛かったように暗い。今まで何をしていたか思い出せずに眩暈に耐えながら混乱していたが、ぴちゃぴちゃとした卑猥な水音が自分の元から発していることに気付く。

自分は「何か」をしている。

 継続していた動きに疑問を持ち、自らの意思で止めると、それに気づいた艶ある声に頭上から掛けられた。

「あら、局長さん。おはよう。催眠解けちゃったの?」

 その声には聞き覚えがあった。同時にその厄介な能力と性格から背筋が凍る。茶髪に金色の眼鏡を掛けた美しい女性。催眠の能力を持つA級コンビクト、カメリアンだ。その精神科医はカチャリと音を立ててお気に入りの懐中時計を開き、時間を確認した。

「おかしいわねぇ。解けるまでまだ時間があるわ。念入りにかけたのに。あなたはやっぱり面白いわね」
「……んっ、何を、している?」
「何を……?あなたこそ、一体何をしているのかしら。教えて、局長さん」
「私は……何を……ぁっ…」

 ぴちゃぴちゃぴちゃ。また真近で鳴る水音が空間一体に埋め尽くされ、自分の荒い吐息が発せられる。段々感覚が戻ってきて、気づく。自分は今、全裸で四つん這いだ。また舌を出して懸命に何かを舐めている。意識してその先を見る。何か──カメリアンの足の指だ。

「なっ……!?」
「動きを止めては駄目よ。そのまま続けなさい」

 その言葉に何故か逆らえず、身体が勝手に行為を続ける。丹念に足の指と指の間をゴミ掃除をする様に舐め上げている。

(催眠かっ……!!)

 ソファに悠々と脚組んでいるカメリアンを睨むと、彼女は光悦した笑みを浮かべ、自分の小指を舐める。

「なるほど。精神と肉体の催眠の分離ね……いいわぁ、局長さんのその表情っ……!あなたって本当に良い顔するのね」
「はぁっ……ちゅるっ、ふっ、あっ…れろっ…」
「はあ……とっても可愛い。あなたもその姿見なさい」

 カメリアンの指差す方向を見ると──ここは彼女の診察室のようだ──横には大きい鏡が置いてあり、自分の裸体の全貌が明らかになった。後ろ手にカメリアンのベルトで縛られて、また胸を強調され脚を固定する様に黒い細ベルトで縛られている。下半身には律動的に動くバイブ、アナルプラグでそれぞれの穴に固定され塞がれてあり、刺激を感じる度に悦びで腰を揺らしている。そして、顔を紅潮させながら必死にコンビクトの足の指を舐める自分の姿。鏡に映る淫らな自分と目が合い、信じられずに羞恥で身体の奥が熱くなる。

「……あっ……うそ…だ…」
「ははは、嘘かもしれないし、本当かもしれないわね?ねぇ、もう一度聞くわ。あなたは何をしているのかしら。教えて、局長さん」

 カメリアンの言葉は半強制的に従う様に催眠されており、自分の考えていることがそのまま勝手に口が開かれてしまう。

「私はっ、あっ……あなたのっ…足の指を舐めてっ…んんっ…ます…」
「そうね、熱心に私の足を舐めているわね。お股とお尻を濡らしながらどこに何を咥えているの?」
「それはっ……」
「教えてくれないの?」

 言い淀むと、金色の眼が私を鋭く貫く。コンビクト特有の背筋が凍る殺気だ。コンビクトが無防備の人間一人を殺すのは容易いだろう。生殺与奪の権利を完全に相手に奪われている状況に恐怖で自然と膝が震える。
 すると、もう片方の足の甲で自分の膣に埋まるバイブをぐりぐりと奥に押し込まれ、強度が強くなる。刺激に跳ね上がる身体を抑えられない。

「はああぁっ……!!」
「教えてなさい?」
「膣と肛門にものを……入れている……」
「まぁ足りないけど合格ね。ふふ、罰のつもりがかえってご褒美になってしまったわね。ほーら」

精神科医は足でバイブを前後左右に動かす。その度に刺激される部位が変わり、黒髪の女は踊る様に動かす度に腰をくねらせる。声を抑えるために口を閉ざすと、次は奉仕行動の中断に女から咎められる。

「お口がお留守よ。ちゃんと舐めなさい。でも勝手にイッては駄・目♡」

その言葉の裏腹にカメリアンは足は股の前方に伸び、指で局長の陰核を引っ掻くように刺激させ、絶頂を導く動きをしていく。すでに敏感なそこは断続的な刺激に耐えられないようだった。逃げようとする腰に関係なく、彼女の足は獲物を狙う蛇の様に追って敏感な部分を逃さない。

「あぁっ…あああっ…!!そこ、ダメっ……!んんっ!!イクッ……!!」

  ビクンッと一度身体が跳ねると、局長は身体をガグガクさせながら力が抜け床に倒れ込んだ。体を小さく震わせ、股から透明の愛液を垂れ流し倒れている看守を観察しながら、コンビクトは大袈裟にため息を吐きながら言う。

「……局長さん。勝手にイッては駄目と言ったはずよね」
「それは……カメリアンが……!!」

反論しようとすると、突然尻に大きな音と鈍い痛みが走る。痛みに耐えながらそのサイコパスを見上げると、ソファに掛けてあった漆黒の鞭を持っていた。

「口答えも駄目。約束守らない子は嫌いよ。あなたは催眠がかかる間はわたしの許可なく、行動するのは禁止よ。イクことも、わたしに触れることも、トイレに行くこともね。躾がまだ必要のようね」
「や、やだっ……!!それだけは…止めてくださいっ!!」

『それだけは?』涙目になりながら必死に答える自分に違和感を覚える。過去の自分は経験したことあるかのような言葉だ。

「とても可愛いけど……駄目よ。お尻を突き出してこちらに向けなさい」

力を入れて抵抗するも、やはり抵抗できない。彼女の前で逆向きになり、お尻を高く突き上げる。鞭の痛みをこれから受けることを想像するだけで、脚の間が濡れ、膣がひくひくする感覚がする。

「これからなのにもうびちょびちょに濡れていくわ。期待しているの?」

カメリアンはバイブの固定を外し物を外すと、透明の液が穴から溢れ出てくる。鞭で愛液をかき集めるように掃除して膣をなぞっていく。いつ来るかわからない痛みに局長は緊張が解けずに身体だけ小さく震わす。

「看守様が罪人に躾られるってどういう気持ちなのかしら……後で教えてね」

罪人は鞭でツツツ…と尻を撫で、腕を振り上げる。パシンッ!!と鋭い痛みが看守の尻に走る。それは1回だけでなく何度も鞭で叩かれる。その度に音が大きく響く。カメリアンが大きく振り上げ、尻を叩く、振り上げ、叩く。それを繰り返される。

「はっ、はうっ……んんんっ…!!あっ!!痛っ!!やっ!!」

鞭で打たれる度に尻が赤く線状に跡を残していく。

「痛い?」
「あっ、はっ、あッ……痛っ、お願いだっ!やめろっ……!!」
「だーめ♡これは罰よ。言葉使いも直しなさい?イク時はイク事を報告しなさいね〜」
「はぁあっ……っ」

返事は?、とまた振り上げ、尻を打つ。

「ああっ…!!はっ……はいっ!!」
「ふふ、良い子」

カメリアンは一旦鞭を打つ手を止め、赤くなった尻を掌で撫ぜる。しかし、褒めるどころか、その手で再度左右の尻たぶを交互に叩く。尻肉は波打ちながらパァンパァンと鈍い音が響く。掌の場合は痛みより羞恥が増すようだ。汁がどんどん滲み出てくる。

「あっ!!うっ!!やめ、ろ……!!」
「また口答え?それにしてはどんどん濡れていくじゃない。局長さんは思ったよりダメな子のようね」

 カメリアンは鞭に切り替えて、また続ける。

「あっ!!あっ!!」

 鞭が陰核や膣といった敏感なところに下がっていき、やがて痛みが痺れるような快感にすり替わっていく。声の質が変わってくていることにクツクツと笑う精神科医。

「あら。鞭の味覚えちゃった?局長さん?」

 徐々に鞭を打つたびに甘い嬌声が上がるようになり、膣から愛液が更に溢れる。

「あんっ、あっんっ、あんっ…」
「もう聞こえてないわね」
「イクっ……イキますっ……」
「いいわよ、イキなさい?」

 陰核に鞭を打つと、局長の腰が弓なりになり、ビクンッビクンッとしながら四つん這いが前方に崩れた。

「はぁっ……はぁっ……」

 倒れても尚、粗い息をしながらかろうじて尻を自分に高く向けている看守にコンビクトは調教の成果が見えて舌舐めずりし、ほくそ笑む。

「よく頑張ったわね」

 真っ赤な尻を優しく撫でて、甘い声で呼びかける。お仕置きの後の優しさに何故かゾクゾクと歓喜が背筋を襲う。ただご褒美は早いようだった。

「でも局長さん。休む暇ないわよ。あなたばかり気持ち良くなってはつまらないわ。今度は私を悦ばせて?」

 診察室の机にカメリアンは腰をかけ、スリットをたくし上げ、半分催眠を受けている局長をその中へ導く。ハサミで黒タイツの股間部を切りると、紐状の黒色の下着が見えた。心理士は下着を横にずらし、陰部を局長の目の前に露出させる。

「舐めなさい」
 
 目の前の生々しい女性器に喉を鳴らし、独特な体液の少し蒸れた匂いに局長は眉間に皺を寄せる。しかし肉体は催眠を受けているため抵抗できず、その濡れた膣に舌を埋める。カメリアンは仰け反りながら舌の快感を楽しみ、奉仕する局長の髪を撫でる。

「あっ……あぁっ……イィ……」

 舌を下から上と膣の形に沿って舐めていく。どんどん垂れる愛液を飲み、嬌声の高く上がる場所を探し当てていく。陰核を刺激すると、精神科医はひどく彼女を褒めた。

「そこ、いいわぁ…」

 陰核を唇を当てると、彼女はその柔らかな感触に酷く喜ぶ。必死で機嫌を取ろうと舌先で舐めていく。すると、頭を両手で固定され、自分を悦ばせるオナホールのように陰核と膣を擦り付ける様に上下と動かされた。

「んっ!!んんーー!!」
「あんっ!!あっ!!あぁ…!!局長さん、あなたの唇イイっ!!」

 膣から出た愛液を局長の整った顔に塗りたぐられながら、カメリアンは絶頂に達する。掃除もお願いすると、局長は口周りを一杯に汚しながら舌で綺麗に掃除した。


「さぁ、ご褒美の時間よ」

 局長を診察室のベッドに寝かせる。カメリアンはペニスの形をしたバンドを取り付け、そのグロテスクな大きさと形状を華奢な看守の目の前に見せつける。あまりにもの大きさに局長は畏怖を隠せず後退りする。

「か、カメリアン。その大きさはいくらなんでも入らない……」
「局長さん、逃げては駄目よ。脚を広げなさい」

 カメリアンは冷たい言葉で言葉を遮る。懐中時計に触れ、能力を発動させる動きだ。いつでも精神に働きかけ貴方を殺せるのだというメッセージ。局長はその仕草で条件反射で恐怖で震え、従順にM字に脚を広げた。陰部をまた自分が枷で従わせているはずのコンビクトに晒す。これ以上屈辱はない。アレを挿入するにはぬめりが足りないと感じたカメリアンはベッドサイドに座り、「濡らしなさい」と理不尽な命令を言い放つ。

「……手が…使えない…外して、くれ…」
「ダメよ。そのまま濡らしなさい」

 腕を背後で縛られ、性器に一切触れることができない状態での無茶な命令だった。しかし、この自らの生殺与奪の権利を奪っている女に弄ばれ、視姦されている状況に、局長は興奮を覚え、愛液を次々と分泌させる。その様をコンビクトは蟻の観察をするように頭を近づけ静かにじっくり観察する。液はついに重力に従って太腿を伝い、ベッドのシーツに垂れ、大きな染みをつくった。

「え……何故…ちが……」

 触っていないのに、焦る心と裏腹に身体はカメリアンの命令に必死に答えるようにどんどん濡れ、肩を揺らし吐息を吐いてしまう。この状況に戸惑う局長にカメリアンは嘲笑する。

「触ってないのに濡れていくなんて、局長さんは変態ね」
「違う!これは……おかしい…何をした!?」
「あら。こんな時でも私のせいにするの?もう明らかじゃない。へ・ん・た・い・さん♡」

 こんなこと自分では初めての経験だ。この状況を作り出しせる方法の可能性を考え、局長はひとつの最悪な可能性を見つける。

「カメリアン、これは、何回目・・・だっ……!?」
「あら、聡明な局長さん。もう気づいたの?最近は仕上げに毎日してたから、150は超えているかしらね〜?」
「!?……そんなに?あり得ない……」

 驚愕な事実に局長は驚きを隠せない。1日1回だとしても半年位はある。

「でも思い当たることはない?あなた、最近寝ているのに寝不足ではなかったかしら?私の姿を見て、何故か無性に疼かなかった?気がついたら私の診療所近くにいなかったかしら?何で診療所に行ったはずなのに記憶がないのかしら?」
「う…そ……だ……そんな……」

 思い当たることが多すぎて目眩がする。その時は少し疑問だったが、すぐに気のせいだと脳が機能上失った記憶を取り繕ってしまった。

「あはっ、はははははっ、ははははははっ!!素敵、あなた、本当に素敵っ!その絶望、苦痛の顔、素敵。みせて、もっとわたしに見せて?」

 ひとしきりに笑った後笑い涙を拭きながら、カメリアンは局長の顎を掬う。局長の表情は驚きと絶望感からまた立ち上がれない様子だ。

「そう、わかったでしょう〜?あなたの身体はすでに調教済み。私のどんな命令でも従おうとしてくれるわ。もちろん興醒めの枷は使わせないわよ。でも、局長さん、私はあなたが思う以上にあなたの事だーい好きよ。すぐに壊しては、つまらないわ」

 カメリアンは手の拘束を外し、局長の手を自由にする。その両手を掴み、カメリアンの首に巻き付かせる。

「今日のところは、これで終わりにするわね」

 入り口にモノを当てがい、数度か擦り付けて焦らしていく。抵抗する声と裏腹に腰はカメリアンに擦り付けるような動きをし受け入れ態勢は出来ているようだ。静止を求める声を無視して一気に挿入する。狭い穴はその巨大異物の形を覚えるように蠢きながら広がっていく。

「はぁぁっああっ……!!」
「んっ……あら、挿れるだけでイキそうね。いいわよ、何度もイキなさい」

 既に出来上がったそこは挿れるだけで太腿を震わせる。この世界の支配主の許可を得ると我慢するも間も無く達してしまった。局長は感覚の強さに震えながらギュウウッと最悪な女に両手足を巻きつける。内心殺したいだろう自分に惨めに縋り付く姿に精神科医は口角を上げる。いずれ、精神も調教し自分の手に陥落させる妄想をする。肉体と違い、精神は少しずつ意識変容が行われる。彼女の催眠を持ってすれば、この局長は自分が知らない内に徐々に精神に蝕まれ、自分の存在は一生勝てない服従すべき絶対的な存在であることを刷り込ませれるだろう。気がついた時には手遅れ、彼女は蜘蛛の巣に絡み取られながらも、自らの全てを差し出し、貪られ尽くす運命を辿る。その妄想はカメリアンをより疼かせ興奮させた。
 容赦無くパァンパァンと肉と肉がぶつかり合う音が響く。数突きの度に組み敷かれている局長は絶頂を達するが、このサディストな心理士は止まらない。側から見ると抵抗出来ない穴を相手の苦痛に関係なく自分の快楽のために獣が蹂躙しているようだ。

「イッてる…!!やめっ…!!ああっ!!またイクっ!!あああっ……!!イッたからぁっ!!」

 必死の懇願も気にしない。ふやけた表情の局長の舌を自分ので絡める。既に溶けた舌を口腔内で貪る。全てが快感となり、また絶頂へと導かれる。両脚を更に倒し、カメリアンに両手を繋がれ更に逃げられない体勢となり、より奥に棒を進められる。奥は突く度に頭が真っ白になり痺れる感覚がする。アナルプラグの抜き差しも追加され、奇妙な快感が加わり、穴という穴を責められ続ける。涎を抑える暇なく口から垂れ流れ、強い快感に涙を流し、言葉を発せず動物の様に鳴くことしかできない。

「ああっ、ダっ、もっ…あ゛あ゛あっ…!!」

 ある時奥を突いた瞬間、腰が弓なりになり、一瞬ガグガクと全身を震わせた。ひときわ大きい波が来ている。カメリアンは鼻水や涎、涙を垂れ流している局長に優しく微笑み、頭を撫ぜる。
 
「いいわよ、局長さん。私に全部晒して頂戴」

 彼女の許可を耳にすると、条件反射で身体が緩み、全ての感覚が濁流のように襲いかかっていく。看守の顔は快楽に緩みぱなしになり、コンビクトは膣を蹂躙する様な動きをやめない。身体が大きく震えた後、膣がモノを絞り出しながら愛液が洪水のように大量に膣から流れ出していく。同時に尿道から匂いのある淡黄色の液がチョロチョロと流れ服とシーツを濡らす。

「あらやだ。局長さん。お漏らししちゃったのね」
「ぁ……ぁぁ……ぁ……」

 涙を流しながら気を失ってしまった局長はもう聞こえていない。カメリアンは痴態を晒されても、愛しさは消えず、寧ろ醜さを含め全てを曝そうとするその姿に増していく一方だった。服の汚れを気にせず黒髪を撫でながらその開いた唇に自分のものを重ね、そのルージュの口紅を残す。大事な玩具を逃さない様に抱きしめる。

「あなたは、私の愛しい愛しい玩具。大好きよ」

深い真っ白の世界に浸りながら、その甘たるい言葉とカチッという金属音を遠くで聞こえた気がした。

⭐︎


 何の用事で来たのだったか、気がつけばA級コンビクト・カメリアンの個人診療所前に来ていた。診療所に用事があったということは恐らく誰かの治療のための薬を取りに来て到底自分がド忘れしたのだろう。思い出すついでにカメリアンと雑談でもしようと局長は考えた。

「カメリアン、入っていいか」
「あら局長さん、来たのね。いいわよ、こっちに座って」

カメリアンが座る診察室の中に入り、患者用の椅子に座る。患者になった気分だ。テーブルの上には待っていたかの様に自分の分の紅茶が淹れてある。そうだ、彼女から招待を受けていたのだ。思い出して、安堵する。ちらっと、カメリアンに飲んで良いか「許可」を求めると、「どうぞ、いいわよ?」と言われカップに一口口付ける。その姿を見て、コンビクトは藍色の目を細める。

「最近の睡眠はどう?まだ私の助けが必要かしら?」

 その言葉に局長は紅茶を吹き出しそうになる。

「……待ってくれ、君から何か助けを受けていただろうか?」

 精神科医は返事の代わりにニコリと笑い、金縁の眼鏡をかける。その仕草を見て、急に眩暈がして紅茶を持つ手が震える。彼女を見るだけで奥が疼き、目の前の女が無性に欲しくなる。その虚な灰色の瞳を見たカメリアンは目を三日月にし、口角を上げ、誘惑する声色で囁く。


「ほら、こっちに来て。脚を開いて?」


END.

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA