或る女(kafhime/カフ姫/R-18)

※R-18の作品です。苦手な方は読むのを控えてください。

 

開拓先の星に派手に貼布されていたカンパニーの指名手配書の人物は悪名高い犯罪者というには美しく、またあまりにも懸賞金額が天文学的な数字であったため、姫子の目を引いた。

「一、十、百、千、万、十万、百万、一千万、億……」

 その数字の桁を指で辿って数えていく。億を超えた辺りから数えるのを止めた。常軌を逸した多額の懸賞金額である事を充分に理解し興味を無くしたからだ。   
 この女、星核ハンターは自分達にとっては旅の目的は異なりライバル関係にある。狂人エリオの脚本の元に世界を暗躍し、星を崩壊させる半ば兵器ともいえる星核という危険物を目的不明のまま収集する不気味な集団だ。一方で姫子達が乗車する星穹列車組は星神アキヴィリが旅をした星軌を開通させるためで道中にある空間を歪ませる障害となる星核を封印させる。似通うと言われたら、姫子の顔は華麗に歪ませるだろう。

「……カフカ、ね」

こちらに挑戦的な視線を送っているように映る憎たらしい写真を眺めながら、その名を呟く。彼女への興味はその一言で終わる筈だった。姫子の一日は起床し、お気に入りの豆の珈琲を淹れて朝のひと時を過ごすといった優雅な日常から始まり、午前中に外出し、列車の修理の為の素材の買い物を終えたら、夕方には修理に励み、満足する範囲まで到達すれば就寝し、穏やかな日常に終える。今、正にその計画で素材を購入し終え、帰宅する予定だった。  
 しかし、その平和な日常を一発で破壊にする女がこの星には存在した。

「そんなに気になる?」

姫子の呟きを反応する様に耳元でその声は聞こえた。気配を一切感じさせず自分の背後に立てた得体の知れない存在に戦慄を覚え、金色の双眸を見開き、姫子は瞬時に単分子チェンソーの入ったトランクを振りかざす。自分だって伊達に開拓者をやっていない。相当な実力者であることは明らかで、経験値も恐らく相手が上だろう。攻撃を最短かつ最小距離で躱し、ワインレッド髪の女が姫子の前に姿を見せた。ちっ、と姫子は心の中で舌打ちする。その女は正しく、先ほど自分が見ていた指名手配犯の写真の女だった。いつの間にか周囲は自分と女しかおらず、この女の能力によるもの──空間を操ったか、人を操ったか、それに関連した能力──と推察した。静かに対峙しながら科学者の脳内は複数疑問が宿る。
 何故、今、彼女が自分と接触したのか。噂に聞く彼らのリーダー、「運命の奴隷」と呼ばれるエリオの脚本に書かれた内容なのか。他者、もしくは空間自体を干渉するという相手の能力の正体は一体何なのか。
そして、無数の疑問の中からこの莫大な懸賞金をかけられた殺し屋に対峙してしまった窮地をどう切り抜けるか、という問いが半ば生存本能から瞬時に最優先に挙げられた。まず退路の確保を優先した姫子に女は口角を上げながら不敵な笑みを浮かべる。まるで科学者の思考を全て解読しているようだった。

「賢い人は好きよ。でも安心して。君を傷つける気も殺す気もないわ。君には今後やってもらう事が沢山あるんだから」
「私に今後やってもらうこと?……それは、[[rb:狂人 > エリオ]]の脚本にある事なのかしら」
「今はそう、とだけ言っておきましょうか」
「あんたが今、私に接触したのもそうだと?」
「ふふ……さぁて?」

女は答えなかった。パープルのグローブをはめた指が何かを操るように動く。姫子は警戒を強めた。何か───糸の様な細い───恐らくその誰かを捉える様な形状からは空間ではなく、他人の行動に干渉する能力だろう。

「今回の接触は、どちらかと言うと君への好奇心……かしら。お話ししたいの」
「話をする態度じゃないわ!」

床から無数の紫の糸が伸びて姫子を拘束しようとする。素早く跳躍して、バックステップで避けつつ相手との距離を置く。距離を離れると、すかさず殺し屋が銃を構え、姫子の足元に発砲する。科学者は一定の距離を取りつつ、攻撃を躱していく。しかし、それは科学者を罠へ誘導させるための攻撃だ。

「ふふ、そちらの足元にも気を付けて?」

姫子の回避ルート先を予想され予め投げられた手榴弾によって、着地点の床下の色が変化し雷光が爆発音を立てながらスパークする。

「くっ」

足を踏ん張り、進路を切り返し、間一髪で避けるも軸足の左足が攻撃を掠め、姫子は体勢を崩す。その一瞬の隙を逃さず、殺し屋は一気に距離を詰め腰に指していた深紅の剣を抜き姫子に振りかざす。

「よそ見はだめよ?」
「……っ!!」

姫子は武装トランクで剣を弾き避けるが、太刀筋から電撃が蜘蛛の巣状に広がる。

(強い。攻撃のパターンが不規則、かつ、豊富過ぎる…!!こいつの初見は流石にきつい……)

掠った程度だが、雷の余韻が波及し、相手の方が格上の影響かダメージが大きい。苦痛に顔を歪める姫子に女の不敵な笑みが深くなる。女が口を開き、虚無の深い瞳で真近で目が合った瞬間、ゾクリ、と背筋を鋭く冷たいナイフでなぞられる感覚を覚えた。

「聞いて:」

 人間はその言葉に注意して耳を傾けるようにできている。それは、幼少期からの教育の影響なのか、言葉を扱う人間自身が備わっている本能の影響なのかわからない。姫子は聡明が故に他人より反応は早かった。いや、この瞬間においては早すぎたのだ。人間の防衛本能の一種の注意力と言うのは、時には仇となることがある。

「君は私と目が合うと身動きが取れなくなる」
「……!!」

 その言葉の命令口調を含んだ内容と異様な感覚に科学者は脳内が警報を鳴らした。───言葉で支配する能力!彼女は瞬時に結論に至った。

「!?」

 身体を乗っ取られる感覚が来る前に姫子は本能的に動いた。隠し持っていたナイフを自分の急所である動脈を避けて太腿を思いっきり突き刺そうとする。女はその行動に反応して銃を発砲した。

「駄目よ?」

弾丸は姫子のナイフを弾き、ナイフは金属音を立て床を回転しながらに滑り落ちていった。支配から逃れる行為は空振りに終わり、姫子は紫の無数の糸に、捕らわれた。

「ぁっ……くっ……!!」

カフカはゆっくりと優雅に歩き、姫子の落としたナイフを拾い、鋭い刃先を指で遊ぶ様になぞる。

「言ったじゃない。君を傷つけはしないって」

ワインレッド髪の殺し屋が捕らわれた科学者に近づく。身体は支配状態にはあるものの、精神は自身のままのようだ、姫子は眉間に皺を寄せ、睨むように女を見据える。「あら」と女は科学者の口の端から血が流れている事に気づく。

「はぁ……気が強すぎる女は嫌いではないけれど、困りものね」

紫色の手袋を片方脱いで、もう一方の手で顔を固定し迷うことなく指を姫子の口の中に突っ込む。突然口腔内に指を入れられ喘ぎ苦しむ赤髪の開拓者をよそに探るように指を掻き混ぜる。

「あ゛っ……がっ……お、ぇ……」

自分の指に生理的な涙を浮かべ喘ぐ姫子にカフカは体の奥底から高ぶりを感じ、密かに笑みを浮かべる。探り、舌を噛んだであろう部分から少量の出血を見つけ、女は服を破り、姫子の口に入れ、指で止血する。カフカが支配の力で止めなかったら噛み切ってたかもしれない。そうまでして女の支配を受けたくなかったようだ。

「ふふっ。随分嫌われた者ね、まぁ、星核ハンターの名を持つからには当然の宿命なのかもしれないけれど」とカフカは呟く。

「な、何がっ…はぁ…目的、よっ……」
「目的?そうねぇ。エリオの脚本に沿うための、準備と仕込みといったところかしら」
「は?」

姫子の次の言葉を遮るように、カフカは彼女を引き寄せ、手で頬を撫でながら耳元で囁く。一度覚えた感覚が科学者の背筋を凍らせる。今度はその言霊に逃れることはできなかった。

「姫子、聞いて:星穹列車に案内しなさい」

「起きた?」

 朦朧とした真っ白な世界で頭を優しく撫でられ、姫子は意識を立て直す。自分が吐息を漏らしながら目の前の行為に夢中になっている。

「あっ……ふぅ、うっ…」

ここは見慣れた自分の部屋だ。目の端で自分ともう一人の二人分のコートが丁寧にハンガーを通して壁に掛かってある。身体は動けず、首輪を付けられ、後ろに手首を縛られているようだ。誰かの膝の上に跨り、姫子はその唇をそうしなければ死ぬかの様に必死に貪っている。

「はぁ….はっ?えっ……やっ…….!」

眼前に端正で妖艶な顔立ちが広がり、それがカフカのものだと認識すると、身がよだつほどの鳥肌が立ち、反射的に顔を背ける。勢いよく離すと唇から唾液が糸を引き、憎き相手のそれと繋がった。女は親指で姫子の唇を優しく撫で、伸びる唾液の糸を切り、その指を舐め取りながら涼しい顔で口を開く。

「あら。もう終わり?」
「あんた!私を、操ったわね!?」
「人聞き悪いわね、ちょっとお願いしただけよ───こうやって。『姫子、聞いて:口を開けて、舌を見せて』」

その言葉を聞いた瞬間背筋に違和感を覚えながら、姫子は何かに突き動かされ口を開き、従順にも舌を前に出す。満足げなカフカの手で顔を顎下から掬われ、舌の診察をされた。科学者は全身の力が入らず抵抗できずに目の前の女になすがままとなった。

「舌はもう治った様ね。良かった」

何が!と姫子は心の中で毒づく。本当は張り倒したいが、捕縛され生殺与奪を相手に奪われている今、ここはなるべくこの底知れない殺し屋の機嫌を損ねてはいけない。確かに今の時点で生きており、殺気を一切感じないところから本当にカフカは自分を殺す気はないようだ。しかし、真意がわからないのが原因を追求する科学者にとって不気味過ぎた。

「はぁ。あんた、何がしたいの」
「何って。君が私のことをあんなに求めるから好きにさせただけよ?」
「それは!あんたが言霊を使っただけよ!」
「ふふっ。もう能力バレちゃってるのね。それにしても….君ってキスが激しいね。もしかして、ご無沙汰?」
「なっ!!」

姫子の顔の肌がみるみる紅潮する。カフカは口笛を拭き、それを面白がりながら観察し、片方の口角を上げる。

「図星?」
「あんた……」

(前言撤退よ。こいつはいつか絶対懲らしめるわ….!!)

 デリカシーの無さすぎる女の言葉に姫子は決意を固めた。

「ご無沙汰なら、私が発散に協力してあげることも出来るわよ」
「あんたとこうなるなんて死んだ方がマシよ。それにあんたに何がメリットあるのよ」

殺し屋と容易に取引すべきではない。対価が限りなく重い場合もあるからだ。その質問には退屈なようでカフカは姫子の紅い髪を指先に巻き付けながら説明する。

「警戒しないで。対価だなんてつまらないし、不要よ。私がしたいだけだから。君はただ私のすることを受け入れるだけでいい。君を殺さないと契約書に書いたっていいのよ」
「あんたの噂とあの指名手配書を見て、その言葉を信じる人なんてそういないわ。あんたの行動には目的は必ずあるはずよ」

 星核ハンターは警戒心の強い姫子に笑みを深め、彼女の顎を指で持ち上げながら、至近距離で目と目を合わせる。紫に薄紅色が混じった真意の読めない双眸が自分の全てを見透かしているようで、姫子は本能的に恐怖を覚えた。

「言ったでしょう?私はただの準備のためだけに来たの。だけど、君に興味を持った。今はただ見たくなったの。君みたいな高貴で気の強い人が快楽に堕ちていく瞬間が、見たい。一種の純粋な好奇心よ。これでいいかしら?」
「悪趣味ね。あんたなんかで堕ちる訳ないでしょ」
「さぁ、それはどうかしら───」
 
 カフカは開拓者のドレスの胸元から無遠慮に手を差し込み、白く滑らかな肌を這うように滑らせ、中に隠れた乳房に触れ、乳首をバイオリンの弦を抑える様に指先だけで滑らす。

「あっ…!ちょっとっ…!ゃっ….!!」
「君は素質がありそうだから。こういう事に嵌る素質」
「そんな訳、ないわよ!変態!」

開拓中の他の列車組の仲間の助けをどうにかして呼んで時間稼ぎをしたいが、携帯は手に届かない位置にある。科学者の思考を読み取る様に妖艶な星核ハンターは言う。

「ちなみに、君の仲間達は私の仲間と遊んで貰ってるわ。中々手強いと思うから、暫くかかるんじゃないかしら。君が私の要求を受け入れるまで時間稼ぎしてもらう予定よ。その間に危害を加えないといいけど」
「はっ、脅し?用意周到なことでっ……」
「ふふ、舞台には準備が大事なのよ。これは契約よ。私は君の身体を好きにする。決して殺さない。君の仲間も殺さない。君は私に身を委ねるだけで解放してあげる。仲間と自分の命に比べたら安いものと思わない?」

姫子は考えを一巡させたが、今の状況は圧倒的不利であり、得体の知れない契約を飲み込むしか方法はない。ここで粘っても契約条件がより悪くなる可能性があり、仲間の事を考えると長引かすのは得策じゃない。

「どうせ断ってもあんたの力で無理矢理結ばせるのでしょ。わかったわ」
「交渉成立ね」

 手始めにカフカは姫子の後頭部の髪を撫でると、自分の元へ引き寄せ、再度口付けを交わす。触れるだけの優しいキスだったが、やがて紫髪の女の舌が姫子の口腔内を侵入してきた。

「ふ、ん、っあっ……!!」

蕩けるような感触に元々支配の能力で判断力が鈍った脳を更に朦朧とさせる。

(こいつ、キスが無駄に上手いっ….)

カフカはキスの時でもすら瞬きをせずに姫子の顔を観察し弱点を見つける様に反応を見ている。姫子がその見透かすような紫の双眸が腹立たしくて、避けるために目を伏せる。それを受け入れたと勘違いしたのか、それとも理解した上でなのか、カフカは更に姫子の腰に回していた腕で彼女の身体を引き寄せ、その唇を貪る。舌を絡め合い、唾液を吸い取るように啜り、歯列をなぞり上顎を舌で突いて探ったり、舌裏を舐めたり、全ての口腔内を知り尽くすように開拓者を堪能する。キスをしながら姫子の純白なドレスをたくし上げ、柔らかいお尻を揉み、太腿の感触を楽しむ。

「はぁ、ふ….んんっ…!!んっ、ちょっ、とカフッ…!!」

一回のキスが長く、姫子は空気が足りず紅潮しながら抗議する。それに対して「ごめんなさい。つい夢中になってしまったわ」と星核ハンターは悪そびれずに姫子からゆっくり離れ、背中を撫でながら謝罪する。科学者は空気を求めて肩で呼吸しながら額を星核ハンターの肩口に預けて休憩する。カフカの唇は姫子のリップ跡が大量に付着し、先程の行為の激しさを表し、姫子もまたカフカの好みの色のリップが大量に付着していた。女は姫子の髪を優しく撫ぜ、サイドに流し、露出された首筋に唇を吸い付かせる。首筋に沿って唇でなぞると、気持ち良いのか姫子が身じろぎする。

「君、随分感じやすいのね」
「あっ…..!」

ふっ、と紫髪の女に耳に息を吹きかけられ、姫子の背筋に感覚が走り、弓の様に仰け反る。あまりにも敏感な体質にカフカは笑いを隠せず、首筋にキスをしながら目の前の姫子の豊満な胸をドレス越しに掌で包み込む。

「んっ、手冷たいっわね、あんた」
「君が熱いのよ。君の胸、予想以上に大きくて、柔らかくて感触が良いわ。身体は本当に他人を喜ばせる体質ね。科学者じゃなくて、娼婦が天職なんじゃない?」
「そんなぁっ、ことっ、んんっ、ふっ、ないわよっ…..!!」
「そうかしら。あら?これは…」

 星核ハンターの両手で円を描く様にゆっくり揉みしだくと、科学者は甘い吐息が漏れ出て揉む度に身体を震わし、瞳が潤み始め、繰り返すと、やがて太腿を擦り合い始める。予想以上の反応にカフカは楽しくなる。
 姫子は、胸が特に弱い。弱点を発見し、星核ハンターは重点的に攻めていく。ドレスの胸元から手を入れ、黒のブラジャーの下に手を差し込み、直に乳房に触れる。姫子は顔を赤くしながら、「このっ…..」と毒づきながらも為す術なく受け入れる。指先で外気に触れ勃ちあがった乳首を弄る。ピンッと指で弾き、親指で乳首の先をこねくり回し、伸ばすように二本の指で摘みあげると、姫子の身体は悦ぶように歓喜な反応する。

「あぁ….あっ…あぁ…!!」
「ふふ、気持ちいいでしょう。ここ。弱すぎよ」

溶けた表情になっている姫子に一度キスし、首に結んであるドレスの結び目を外し、乳房を完全に露出させる。
白く滑らかな肌、Gカップはあるだろう乳房、際どい位置にあるセクシーな黒子、ピンク色の小さめの乳輪、外気と興奮でたちあがった乳首。その綺麗な形状と見栄えに星核ハンターは暫し鑑賞する。それさえも姫子の興奮材料となり、視線だけでも下着が段々濡れる感覚を覚えてしまう。

「何もしないならしまって貰えないかしら?」
「そう焦らないで。素敵なディナーと同じ。美味しそうな物は見た目も楽しまなきゃ、ね」
「…..変態」

 一通り鑑賞を楽しんだ後は、星核ハンターは視線を姫子の目に合わせながら、ぷっくり勃ち上がった頂点の乳首を唇で挟む。

「あんっ」

 自分でも驚く甘い嬌声に姫子は発した後に恥ずかしかなる。女の舌先で乳首をいじられ、もう一方の手で乳房も円を描いて揉まれる。

「はぁ、いや….!それ、駄目よ…!!」
「ふふ、早くしてと言ったら次は駄目?駄目じゃなくて、好きの間違いでしょう?」
「くっ…..んんっ、んっ…!!」

 紫髪の女に両手で姫子の豊満な乳房を寄せられ、赤ん坊の様に両乳首を同時に音を立てて吸われる。姫子の身体は擽ったい感触と気持ち良さにため息をつく。カフカが乳首を齧ると、「ああっ!!」と姫子のら身体が反り上がり、ビクビクッと震えた。

「胸だけでイけそうね。もしかして痛いのも好き?」
「はぁ、はぁ…….うる、さい!」
「あら、可愛くないわ。そんな姫子にはおしおきね」

後少しでイきそうなところをカフカの手と口が完全に離れる。競り上がり昂った感覚が急に止まり姫子の身体が欲求不満を訴え、カフカを睨む。

「早く、し、シなさいよ!」
「まだ駄目よ。ちゃんと姫子がおねだりできるようになるまでは、お預け」
「か、カフカ!」

腰と背中を微妙なさじ加減の力でさすられ、奥で1度滾った燻りを煽らされて焦ったさが助長する。もっと早く、強く、動きが欲しい。欲は姫子の体内に渦巻き、下半身が疼かせ、無意識にカフカの太腿に擦り付ける様に腰が動く。姫子の下着は既に濡れており、カフカの太腿が汚れた。

「ふふ。腰が動いているわ。だぁめ」

それさえも無慈悲にがっちり腰を掴まれることで抑えられる。欲の発散場所の出口を見失い、強いフラストレーションが姫子を襲う。

「あぁ…お願い……もう、ダメ、耐えれないわ…」
「そう?君のことだから、まだ余裕じゃないかしら?」
「駄目よ…早く、カフカ……!」
「まだ駄目ね。足りないわ」
「そ、そんな….」

カフカはその焦燥感に駆られた顔を楽しむ。姫子を一度立たせ、腰を浮かせ、股の下に腕を差し込む。姫子の黒色の紐パンツは既に濡れており、その役目を果たしていなかった。

「欲しいなら私の腕で自分でシておねだりみて?姫子」
「っっ、最っ低っ……!!」
「しないならいつまでも焦れったいままよ?私は楽しいからいいけど」

その言葉に我慢できず、姫子は戸惑いながらカフカの腕に跨がり、腰を下ろす。ぬちょ、と星核ハンターの腕が濡れ、姫子はそれを恥ずかしがった。「動かして」とカフカに命令され、姫子はゆっくり腰を動かし、腕の上に下着越しの陰部を擦り付ける。

「はぁ、はぁ、あっ、はぅ」

初めはスローペースだったが、陰核を擦られる快感が良いのか徐々に早くなり、さながら発情期の猫の様に嬌声を上げながら夢中に腕に擦り付ける。カフカは姫子の純白のドレスをたくしあげ、その淫らな動きをよく見えるように観察する。

「気持ち良さそうね」
「あっ、あんっ、んっ、んん、気持ちいっ」
「もう聞こえてないのね」

星核ハンターの言葉はもう入らず姫子は夢中だった。黒色の下着は愛液でびしょ濡れ状態であり、姫子が腕にすり付ける度に愛液で腕を汚した。

「あっ、はぁ、んっ!んんっ!!もう、イキそっ…..」

腰の動きが早くなり、絶頂を達する手前でカフカが信じられない力で腰を固定する。

「はい、おしまい」
「あっ、そ、そんなっ….!!イヤよ、止めないで、お願いっ…..!!カフカ!!触ってっ….!!」

縋るように姫子はカフカに頬を擦り付け、キスを繰り返す。悪戯な笑みを浮かべながら、姫子の好きにさせていたが、一切反応を返さない。

「どこに何を欲しいのか、言ってみせて」

星核ハンターの言葉に紅い顔を歪めながら、睨む開拓者。怒りと羞恥心が混ざり震えながら紫髪の手を掴み、姫子は濡れそぼった膣に誘導させる。

「ここに、あんたの指が、欲しい…」
「ここ、って?」

くちゅ、とカフカの人差し指と中指が姫子の膣の入口を軽く触る。触るだけで姫子は吐息が漏れ出て、腰を折り曲げさせ快感に耐える。早く、早く、ソレが欲しい。

「わかるでしょ?」
「わからないわ」
「あんた、ねぇ!せっ……性器よっ」
「あら、もっとイヤラしい言い方あるでしょう?大人の姫子なら、わかるでしょう?」

カフカの指が焦らすようにゆっくり滑り、入り口で液を掻き出すと、膣内の愛液が媚びるように指に垂れ流していく。姫子はカフカに聞こえる程度にその単語を呟く。

「そう。君のそこをどうして欲しいか、ちゃんとお願いして。姫子」

耳元で妖艶な声で囁かれ、それだけでも達しそうだ。信じられないが、姫子の身体はこの悪魔の様な女に支配され、管理される事に歓びを感じている。カフカはとっくにその事実には気づいているのだ。姫子の身体はこの女に堕とされる運命である事を。

「カフカ…ここに指を入れて、イカせて、ください…..」
「お願いしますは?」
「お願い、します」
「ふふ、いい子。いいわよ」

姫子の身体を回転させて顔を見えない状態で引き寄せ自分の膝に乗せるカフカ。姫子はようやくカフカの視線を避けられることに密かに安堵を覚えた。二本の指が膣中にすんなり入り、待ち構えたように指を締める。

「あっ」

指が入るだけでイきそうで、姫子は目をきゅっと閉じながら身体を丸める。

「姫子、イクときはイクって言うのが礼儀よ」
「調子にっ、乗らないでっ….」
「君の仲間が人質に取られていること、忘れないでね」
「っ……わかってる、わよ….っ!!」

「物分りの良い人は好きよ?」と耳を舐めれ、ゾクゾクとした新しい感覚が這い上がり体温が更に上昇し息が上がる。

「イきそう、でしょ?」
「早く、指を、動かしてくださいっ、お願いしますっ…」
「君からのお願いなら、仕方ないわね」

カフカのバイオリンを弾く長い指が今は姫子の膣中を掻き回している。グチュグチュグチュという淫らな音と甘い嬌声が姫子の静謐な部屋に響く。身動きの取れない姫子はカフカに身を委ねる事しか出来ない。親指で器用にクリトリスを刺激され、左手で乳房を揉まれる。

「あんっ、はぁっ、あん、カフカ、もうイク、イッてしまうわ….!!」
「いい子。報告できたわね。ご褒美よ」

指を3本まで増やし、折り曲げGスポットを刺激し、同時に左手でクリトリスを指先で弄りあげる。短い間だが、カフカは姫子のポイントを把握し、カフカが指を動かす通りに姫子が甘い声で鳴く。今、カフカが弾いているのはバイオリンではなく、姫子のようだ。左の指先で陰核を弾くと強く鳴く。カフカは目を瞑り、耳を済ませて自分が奏で、その嬌声から生まれる音楽を鑑賞する。フォルテ、クレッシエント、アレグロ。その音楽はカフカにとって好ましい曲で虚無の感情を奮い立たせる。
そして、仕上げだ。パチンッとカフカが指を鳴らすと、指から電撃が流れた。

「あぁああああああっっ!!」

カフカの指先から電撃が走り、膣内全体が感電する感覚が広がる。雷が付与された強い刺激に愛液が漏れ出て、姫子は一瞬頭が真っ白になり汗を吹き出しガクガク震えながら腰を反り絶頂に達する。

「ふふ。これ、効くでしょう?ハマるとこれがないとイけなくなる子もいるわ」

 姫子を休む暇を与えず、音楽を終わりにさせたくないカフカは動きを止めない。

「いやっ…待っ…て、イッたばかっ….あんっ…..!!」
「私のためにもっと鳴いて?姫子」
「最っ、低っ!やっ、はぁ、んっんんっ!!」

カフカは姫子の両太腿に腕を差し込み、開脚させ、片手で姫子の紐パンを解く。

「ご開帳ね」
「止めて…」

恥ずかしくて閉じようとする姫子の足を腕で抱えM字に固定する。星核ハンターは自分の携帯を開き、インサイドカメラで姫子の愛液を垂れ流している膣を映し、そのまま動画撮影を始めた。

「!?カフカ、それはっ」

抵抗するも両腕を後ろで固定されており無駄だった。淫らな自分が画面上に映される。カフカの右手で自分の膣内をほじられ、奥が見える様に人差し指と中指でくぱぁと拡げられると、喜ぶように穴から涎を出している。唾液で濡れた乳房をさらけだし、全身はカフカが自分の所有物の証拠の様に付けた口紅の跡が付着し、お気に入りのドレスも愛液で汚れている。
 そして、カフカの掌中に今にも快感に堕ちそうな自分の蕩けた顔。自分の後ろに映る妖艶な笑みを浮かべたカフカと目が合い、姫子は羞恥心を煽られ涙目で懇願する。

「お願い、止めて…ひどいわ、やりすぎよ」
「あら、どうして?姫子、君は自分の美しさをわかってないわ。綺麗よ、とても」
「変態っ….」

慰めるように首筋にキスをするカフカ。単純にもカフカの綺麗という賞賛の言葉に心とは裏腹に姫子の体が喜んでしまう。カフカは嘘は言っておらず、実際姫子のどの部分も綺麗だった。カフカの手で汚れ、堕ちかかり、退廃的な姿を晒しても尚、美しく、高貴さを失わない。寧ろ、退廃的な美しさが際立たせており、美術品として、また美しい音色で鳴く楽器として、カフカの嗜好に究極的にまで合い、依然としてカフカの興味対象だった。

「撮られると興奮する?液が溢れるのが止まらないわ。これ、星穹列車の皆が見たらどうなるかしら?綺麗で優雅で優しい姫子さんがこんなに淫乱だった…だなんて」
「や、やめて!!絶対に駄目よ!!」

首を振って泣く姫子の涙を拭いてあげて、優しい声色で囁く。

「大丈夫。そんな事しないわ。君が言う事を聞いてくれればね。約束する。この出来事は私の力で君の記憶から消すことが出来るし、なかった事に出来るわ」
「なかったことに?」
「ええ。だから、君はただ私に委ねて楽しめばいいの。だって」

姫子が鋭い思考を巡らす前にカフカは姫子のナカに指を突っ込む。挿れられると途端集中出来なくなる姫子は快感に身を任せた。

「───だって、イキたいでしょう?」

 カフカの言う通りだ。今は仲間を人質に取られて、自分は莫大な懸賞金をかけられている殺し屋に束縛され自由に動けない状態だ。仕方ない。仕方ないことなのだ。姫子を快楽の世界に堕としめる悪魔のような女が耳元で囁く。

「ふふ、そう。仕方ないのよ。姫子が負けるのは。仲間を助けたいのでしょう?自分の命が大事でしょう? 君はよくやっている。ほら聞いて、姫子。私に身を委ねて思うままに感じて、さらけ出して」

 その力は言霊ではなかったが、姫子に言い訳の余地を与え、コントロールする言葉としては十分だった。姫子は本当の言霊にかかり支配の能力がかかった様に自ら腰を動かし、カフカの指を飲み込んでいく。

「あっ、あんっ、カフカ、気持ち、いいわっ、もっとぉ欲しい….!!」
「そうよ、姫子。それでいいわ」

 動画では蕩けた顔を晒しながら甘い嬌声を上げ、腰を動かしながらカフカの指を咥え込み、彼女を求める姫子が映る。ここだけ切り取れば、姫子がカフカを熱烈に求めている動画になるだろう。

「またイッてしまうわっ….!!」
「いいわ、イッても」
「はぁっ、んっ、はぁああああぁあっ!!」

 音が弾け、カフカの指先から紫の閃光が放ち、その瞬間姫子の膣内に電撃が走り一気に快感が上り詰める。半ば叫びながら絶頂に達し、律動的に震えながら膣から潮が噴き出る。力が入らない姫子はそのまま息を切らしながらカフカにもたれ掛かり、カフカは腕を姫子の首と腰に回し抱き止める。姫子の早い鼓動が肌で感じ、カフカは優しく髪を撫でる。

「可愛いわ、姫子。綺麗にしてくれる?」

 目の前に出された愛液に汚れた指を姫子は従順に口に含む。自分の味は美味しいものではないが、犬の様に主人の言うままに奉仕する。

「ん、ちゅ、んんっ」
「可愛い。頑張った姫子にはご褒美あげるわ」

 カフカは姫子を動画に収めた後、頭を撫で、撫でられた姫子は妙な嬉しさと高揚感に急に恥ずかしくなりカフカの視線を逃れるために目を逸らす。
 ひときしり奉仕させた後、カフカは姫子を立たせて、汚れたドレスと下着を脱がせ、ヒールを残して全裸にさせる。そのまま机にあった本を床に落として、姫子の背中を押し机に伏せさせる。

「お尻は上げて、脚は拡げて」
「あっ」

腰をそらせて、お尻を自分へ高く上げさせ、長い脚を開かせる。カフカは携帯を開き、操作をすると、電子音が鳴り響く。

「え、何よ」

 姫子が振り返ると、信じられない光景に蒼白になる。カフカの股間にないはずの膨らみがあった。しかもかなりの大きさが想定された。

「あ、あんた、男だったの?」
「まさか。遺伝的にも精神的にも女よ。私の仲間がね、ゲームの世界の様に現実世界もプログラミングできるハッカーなの。彼女ならこう言う事ならできるのよ」
「ありえないわ…!そんなこと…」
「ふふっ、そうね。不思議よね。でも現にできるのよ、ほら」

 カフカがそれをショートパンツから取り出すと、その大きさは姫子の予想以上に大きく、グロテスクな形状の無機物だった。

「電子セックストイよ、触ってみて」
「い、いやよっ…!見せないで」

 カフカは姫子の拒否を聞かずに姫子の手首を縛られた手のひらに無理矢理握らせ、腰を動かし扱かせる。

「ん、気持ちいいわ、姫子」
「は、感覚も連動しているの!?何、この液、もしかして」

 姫子の手にぬちゃりとした粘液が付着する。自分の子宮内にカフカの精液が入る事想像してゾッとする。

「安心して。ただのエンタメ用よ。この精液自体に生殖機能はないわ。少し媚薬成分は入っているみたいだけど大した事ないわ」
「大した事はないことはないわね!しかも、入らないわよ、この大きさ」
「我儘言わないで?入れてみないわからないじゃない。君のために用意したんだから。きっと君は気に入るわ」

 カフカが両手で姫子の尻たぶを掴み、拡げると、期待しているのか、ヒクヒクと律動的に動く膣とアナルが待ちきれない様に涎を垂らして誘っていた。カフカはほくそ笑み、密かに動画を起動させながら肉棒でゆっくり擦り付ける。姫子は膣の入り口だけを擦られ、また焦らされる感覚を募らさせた。

「あっ、ん、んっ」

 左手でクリトリスを弄られ既に出来上がっている姫子は腰を震わせる。

「お願い、もっと」
「姫子、欲しいならおねだりしないといけないわ」
「お願い、挿れて、カフカっあっ!!」

 その瞬間お尻を叩かれ、尻肉が波打ち、それだけでも姫子の刺激となり、さらに膣からの愛液分泌が増えていく。

「姫子。教えたわよね。欲しいならちゃんとおねだりして?」

 その瞬間冷たい声と共に殺気が全身を襲う。口の奥が震え、姫子はカフカは殺し屋であり今の自分の命はその手の中にあることを思い知らされる。この人を怒らせてはいけない恐怖に駆られ、姫子は唇を噛み、悔しさと恐怖で震えながら言う。

「ごめん、なさい….」

 小さく震える姫子にカフカは殺気を一瞬で霧散させ、赤くなったお尻を撫でながら「物分かりの良い子は好きよ?」と優しい声で言われ、躾られ許された喜びに身体が勝手に反応してしまう。

「ここに、挿れてっ…イカせて下さい…….お願いします」
「よく言えたわね。いい子よ」

 カフカは姫子の頭を撫で、その口にキスをした後その細い腰を掴み、亀頭をゆっくり押し込む。姫子の濡れたそこはすんなりと肉棒の侵入を許した。星核ハンターは姫子の後ろ手の拘束を持ちかえ、ゆっくりと姫子の中を開拓していく。

「あっ、んっ!!」
「ん、きつい、わ…..」

 カフカの形を覚える様に姫子の膣内は締め上げる。ヒダがびっしりと細かくて吸い付き、カフカも持っていかれそうな位気持ちいい。奥まで挿入すると、硬いものか当たり、全部入る様に押し付けると姫子の声色が変化した。

「ふっ、入ったわ。動かすわよ」

 膣内に肉棒をなじませる様に小刻みに動かしていく。肉棒を後ろに引くと、膣内が逃さない様に締めていく。奥まで差し込むと、全身が歓喜するように震える。リズミカルに肌と肌がぶつかり合う音と吐息が部屋に響く。奥を押し付けられると、甘い声で鳴き、カフカはその音を楽しんだ。

「あんっ、あんっ、あっ、はぁん!!」
「ん、ふっ、姫子、気持ちいいわ」
「はっ、あん、あっ、あっ、またイキそう」

 その瞬間カフカの腰の動きが止まり、姫子は戸惑い、今回何度目かの焦らしに涙目になりながら後ろの星核ハンターに訴える。

「カフカぁ、意地悪はもう、やめて….」
「ふふっ。君が可愛くなるし、面白いから、意地悪したくなっちゃうの」
「動かしてっ、イカせてっ、欲しいの、欲しいっ」
「んっ、姫子….気持ちいい。欲しいなら、自分で動かしてごらん?」
「あんっ、あぁっ、はぁ、もっと、もっと欲しい」

 姫子は媚びる様にお尻を揺らし、カフカの肉棒を膣で食べる様に飲み込み、擦り付ける。自ら引いてまた奥まで飲み込み、今まで自分を蹂躙した星核ハンターの腰まで擦り付ける行為を繰り返す。

「ふっ、ん、淫靡ねぇ…美しいわ」

カフカはその究極に卑猥な姿を動画に収めながら、興奮して漏れる息を潜ませながら唇を噛み、今にもねじ込みたい気持ちを抑える。姫子の膣内で肉棒が徐々に怒張するのを感じ、姫子は戸惑う。

「姫子が可愛すぎるから、こうなるの」

 耳元で囁かれ、姫子の身体は既にカフカを受け入れる準備が出来ていた。姫子は認めざるを得ない。姫子の身体はカフカに支配され管理される事を、求めている。 

「一緒にイキましょう?姫子」

 カフカの肉棒が奥まで差し込むと、姫子の嬌声がいっそう甘くなる。奥が弱点の姫子を重点的に膣奥を攻めあげる。

「あっ、あっ、あんっ、ヤバいっ、気持ち良いっ、イクっ、イクッ」
「最後の仕上げね」

カフカは姫子の拘束を引っ張り一気に姫子を突き刺すように奥まで突き上げ、子宮口に先を押し付ける。カフカからバチッと雷の音がして、姫子は次に起こることに本能的に震え、生理的な涙が出てくる。

「いやっ….いやぁ、カフカ、それは、ダメッ!ダメよっ…うっ…!!」
「いいわよ、姫子。壊れてもいいわ」

今でさえも意識を飛びかけているのだ。これ以上の快感は自分がおかしくなるのではないかと恐怖を覚えた。腰を引き抵抗するもカフカに完全に押さえつけれ、逃れられることが出来ない。何も出来ず、カフカにトドメを刺されて敗北を待つしかなかった。

「ああぁあっんんんっ!!あんっ、あんっ!!」
「んんっ…!!」

膣内に電撃が流れ、一気に姫子の感覚が上り詰め、一際大きな波に襲われ姫子は涙と涎を流し、真っ白な世界にさらされた。姫子の締め付けにカフカも耐えられず絶頂を達して、子宮に精液が吸い出される。ビュルルルと肉棒から液が出てくる。最後の一滴まで余すことなく姫子の体内に入れ、その刺激も姫子の身体がビクンビクンと跳ね、膣内はうねり、カフカを最後まで絞り上げ気持ち良くさせた。

「はぁ、気持ちよかったわ、姫子」

しばらく姫子の首筋や背中に口付けながら射精の余韻を楽しみ、カフカが腟内から肉棒を抜くと、液が膣から逆流し、姫子の長い脚を伝い、ヒールまで到達した。返事はなく、姫子は気を失っているようだ。調教の成果か、気を失っても尚、上半身を突っ伏しながらお尻を高くカフカの方に上げている。カフカが膣を指で掻き出すと、かなりの量の液が溢れ出て、床に滴る。

「お疲れ様。頑張ったわね。いい子よ」

カフカは愛おしそうにその華奢な身体を抱きしめて、頭を撫ぜる。セックストイを消し、ティッシュで姫子の身体を丁寧に拭き、寝間着を着させて、ベッドに寝かせる。自分の身なりを整えながら、穏やかに眠る姫子を観察する。眠る姿は起きている姿より幼く無防備で可愛くて、カフカは頬を撫で、手をベッドにつき、その唇に口付ける。もう少し、その完成度の高い端正な顔を見ておきたかったが、痺れを切らした仲間からの電話が鳴った。

「カフカ、遅い。足止めだってしんどいんだからね」
「あら。ごめんなさい。君だったらこの程度簡単だと思ったけど?」
「別に難しくは無い。しんどいだけ。で、カフカは私が頑張っている間、この時間までお楽しみだった訳ね。ここまでしろとはエリオの脚本には書いてないと思うけど。アドリブ過ぎない? カフカ、相当その人の事気に入ったでしょ」
「どうかしら。エリオの脚本に書いてないことはどうだっていいもの。ただ、この素晴らしい夜がなかった事になるのは少し惜しいわ」
「エリオの脚本だと、君とその人はこの先会う運命だもんね。私の開発中のセックストイ使った?どうだった?」
「良かったわ、とても」

鼻歌を歌い、唇を舌で軽く舐め意味ありげの笑みを浮かべるカフカの表情からはレビューは満点だったようだ。

「使用した動画あるけど見る?可愛いわよ、姫子」
「悪趣味……性能には興味あるけど流石に仲間のセックスはグロいから見たくない」
「ちょっと覗いてた癖に。君でしょ、覗いていたの」
「覗いてない!」

顔を歪める銀狼にカフカは「お年頃だもの。そう言うことにするわ」と肩をすくめる。

「いいの?カフカ。記憶を消して。またチュートリアルから開始だよ」
「大丈夫よ。身体は覚えているはずだから」
「どうせ記憶消すならヤらなきゃいいのに。まぁ、稀に見る典型的ないい女だけどさ」
「自分の欲しいものには早く手をつけて名前を書くタイプなの。それに、何回だって新鮮な初めてを楽しめるわ」
「悪趣味」
「運命を楽しむには沢山素敵な種を仕込むものよ、銀狼」
「はいはい。どうでもいいから、早く本命の任務終わらして、時間が来るよ」
「了解」

電話が切れ、カフカは姫子の寝るベッドに座る。姫子の赤髪を愛おしそうにかきあげると、赤髪の女の焦点の合わない目が薄ら開き、カフカの手を軽く握る。子供の様な行動に星核ハンターは柔らかく微笑む。どうやら姫子は寝ぼけていそうだ。今が彼女に暗示をかける絶好のタイミングだろう。

「姫子聞いて:残念ながら今日私と出会った記憶、熱い夜は全て忘れるわ。だけど安心して、君の身体は私を忘れていないわ」
「カフ…..カ…?」

「姫子、聞いて:君は星核を体内に有した子に出会うわ。その時は君の乗る星穹列車に乗るように勧めなさい」
「待っ…て」

「姫子、聞いて: 私はいずれその子に会いに行くわ。君はその子を面倒を見て、育てるの。そうしたら、私がとびっきりのご褒美を上げるわ」
「カフカ、待って…行ったら、許さな…」

 姫子はそのまま夢の中に吸い込まれ眠ってしまったようだ。姫子らしい言葉に笑みを浮かべ、強く握られた手を優しく外し、ベッドの中にいれる。軽く頬を撫でた後、彼女の赤い前髪をかきあげ、額にキスをする。
 自分の蜘蛛のエンブレムが入ったコートを羽織り、姫子の部屋から出ていく。エリオの予言ならあと3分23秒後には星穹列車のメンバーが帰ってきて遭遇してしまう。それは避けないといけない運命だった。

「時間ね。行かないと。また会いましょう、姫子」


 

「魅力的な自己紹介は不要よ、星核ハンターさん」

ホログラムに現れた女を見た瞬間、皮膚を這うような嫌悪感に姫子は身体ごと身を逸らす。

星核ハンター。カンパニーの指名手配書に天文学的数字の懸賞金を掛けられているのを見たことがある。その妖艶な美貌とその懸賞金の数値で姫子の印象に残っている。
それだけのはずなのにこの身を抱かれたような異様な感覚を姫子は覚えた。姫子は記憶力には自信があり、大抵の事は1回で覚える。しかし、この女のことは指名手配書の基本情報以上のことはわからない。わからないが、妙な既視感に全身が襲われる。

この女は、誰だ。この女は一体───?

紫髪の星核ハンターはほくそ笑み、こちらに振り返り姫子と目が合う。深い、得体の知れない紫と薄紅色が混ざった瞳に自分の中に発生した奥底から燻る疼きに姫子は気付かないふりをした。女は失礼にも姫子に向かって人差し指を刺し、楽しそうに言う。

「姫子、でしょ」

END

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