腰からお尻にかけて(かえみず/デレマス)

  

  私のソファーに寝転ぶ楓ちゃんの姿が馴染むようになって、早数年となる。今日だって、仕事終わって家に帰ると明かりがついていて泥棒かと思って緊張したが、入ると最近作った丸眼鏡かけてホットパンツにパーカー姿でゴロゴロとテレビを見ている美女がいて一気に脱力した、というエピソードがある(ラジオでネタとして使おう)。顔はまぁとても綺麗なのは分かりきっていることなのだが、身体もとても綺麗なのだ。小さい顔、長い首、色気ある鎖骨、薄く狭い肩、長くて細い手足、細くも柔らかそうな二の腕、意外と大きく手、長い指、形の良い胸、平らなお腹。そして、何より腰からお尻にかけての曲線が素敵なのだ。渋谷凛ちゃんのような私からすると心配になりそうなぐらいの10代特有の折れてしまうような華奢さでなく、適度に肉がバランスよく付いている。まぁ、楓ちゃんも心配になるぐらい細いのだけど、体調悪くなると本当にガイコツのように痩せてしまう。食生活見てると、元々燃費が悪くて何もしてないと段々痩せてしまううらやましい体質のようだ。そうさせないように私もバランス良くなるように食べさせているのだけど。

「やっぱりモデルしてただけあるわねぇ、身体綺麗だわ〜」

あまり気にしてないように見えて、仕事のスケジュール次第で食事やお酒を調整したり(大きな仕事だと1ヶ月単位で身体作り開始みたい)、密かにめちゃくちゃ運動したり、ふとしたところで美意識の高さを感じる部分が多々ある。

「そうですか?」

楓ちゃんはうつ伏せで寝転んで雑誌を見ながら、背筋を伸ばし足をすっと折り曲げ、両手を輪郭に添えて、省エネのセクシーポーズを取る。ファンサービスなのか、こちらに一回ウィンクをする。うわっ。さすが、楓ちゃん。セクシーポーズって、10代の童顔の小さな子がやると、笑いがとれるのだけど(私も3割方笑われる)、楓ちゃんが間近で少しポーズ取るだけで女の私でも胸がキュン(死語じゃないわよね?)とする。正しくセクシーポーズなのだ。家ではホットパンツにタンクトップかTシャツ、パーカーが多いが、逆に覗き出る手足を長く見せるから更に効果は増大だ。

「あなたの垂れ流しの色気どうにかできないの?」
「うふふ、困ってますから、瑞樹さんに分けてあげたいです」
「わ、ムカつく〜〜」

冗談でお尻をパンッと叩くと、「ひーん」と情けない声が出た。昔遊んだオモチャみたい。悪戯心が湧いて手をTシャツの中に入れて人差し指で背中から腰にかけてすうっとなぞる。ひゃっ、と可愛い声が出る楓ちゃん。楓ちゃんは背中が弱い。脇腹も。

「ひどいです、瑞樹さん」
「いつもひどいのはあなたでしょう、楓ちゃん」

Tシャツをめくり、細い腰と薄いお腹を撫でる。白く、柔らかで感触がいいもちもちした肌が手に張り付く。いつまでも触っていたいぐらい。

「やめて〜くださ〜〜い」

腰を左右揺らすけど気怠さが勝ってるらしい、本気で止める気配はない。腰をひとなでして、キスをする。

「あっ」

だから色気を垂れ流すのやめてくれる。
声も綺麗だなんて、声帯まで嫉妬しそう。

「楓ちゃん、近くに水着撮影ある?」
「ないですよ〜」
「ふーん」

それを聞くや否や腰に再度キスをし、吸い上げる。腰がピクリと浮くのを頤で感じた。

「あっ、もう、今、瑞樹さんキスマーク付けたでしょ」
「え〜瑞樹、わかんなーい」
「うわキツでごまかさないの!」
「なんだうわキツて」

背中まで捲り上げて、浮かび上がる椎骨を一つ一つ確認するようにキスをする。くすぐったいのか、楓ちゃんは体を揺らして笑ってる。

「瑞樹さんって、顔以外でも私のこと好きなんですね」
「誰しもほとんど顔が入り口よぉ。ネットのチャットだけで恋することは難しいでしょう?」
「はっきりしてますねぇ、ファンが泣きますよ〜」
「ファンの皆はもちろん別に決まってるでしょう?」

首までたどり着くと、首に腕をを回し、楓ちゃんの背中に乗り上げてまたキス、髪をかきあげて、長く白い首筋、うなじにキスを落としていく。キステロだ、と楓ちゃんは笑う。

「瑞樹さん、ラジオネーム、川島さん大好きさんからメールです」
「あら、こんばんは、川島さん大好きさん。お悩み相談かしら」
「読みあげますね、川島さんこんばんは。いつも楽しく聞いています。最近恋人の瑞樹さんが私の身体が好きと言い出してスキンシップが激しいです。嬉しいのですが、今日もソファーで寝転んでいたら、背中キスされました。」
「あらあらラブラブね」
「ご相談なんですが瑞樹さんのせいでその気、になっちゃったんですがどうしたらいいですか?」
「そうねぇ…..難しい質問ね」

私は振り向いたその小さな顔から眼鏡を取り上げる。青と緑の潤んだ瞳で真剣に見られたら、もう私は弱くなり抗えなくなる。柔らかい髪をかきあげて額に唇を落とす。抗がうつもりはないんだけど、今日は。

「続き、する?」

その声を聞いた楓ちゃんは待てからよし!と言われたワンちゃんのように目を輝かせ、頬を緩ませ、飛びつくように私を抱きしめた。

2017年5月3日 pixiv掲載

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